軽度知的障害のある娘はーちゃんが、いよいよ来年小学生になります(2021年9月現在)。
年長さんの9月に横浜市の特別支援教育総合センター(特総センター)で就学先の相談をしてきました。
行く前から家庭内では近所の公立小学校の支援級だろうと話していました。
相談の結果、思っていた通りの判断が下ったので「だよねー」と帰ってきました。
ですが、今まで気づいていなかった娘の得意な分野、苦手な分野、就学後に専門家に診てもらうとよいポイント、中学卒業以降の進路の話などもしていただき、とても有意義な時間になりました。
※本記事は神奈川県横浜市の体験を元に記載しています。自治体によって異なりますので、お住まいの地域での対応は各自治体にお問合せください。
横浜市特別支援教育総合センター
横浜市特別支援教育総合センター(特総センター)とは
横浜市特別支援教育総合センター (特総センター)とは、特別な支援が必要な子どもの教育について、相談に乗ってもらえる公共機関です。
横浜市では小学校にあがる際、大きくわけて以下の選択肢があります。
(このほかにも通級指導等もありますが、うちでは検討していないためこの記事では触れません)
- 一般学級
いわゆる普通の小学校の普通のクラス - 個別支援級
いわゆる普通の小学校内にある、支援が必要な子だけが集まったクラス - 特別支援学校(養護学校)
心身に障害のある児童・生徒が通う学校
基本的には中度・重度以上の子が対象
特総センターは上記のどの環境に進むのがその子にとって一番よいかを、プロの目で判断してくれるところです。
しかし、ここでの判断が絶対ではなく保護者の希望が第一優先と療育センターで言われました。
建前上なのか、本当にそうなのかはわかりませんが、就学先を決める権利は親が持っています。もしも納得がいかない場合は、妥協せずに希望を話して相談していきましょう。
アクセス
〒240-0044 横浜市保土ケ谷区仏向町845番地の2
TEL:045-336-6020(受付時間9:00~17:00)
FAX:045-333-1455
相鉄線・和田町駅下車:徒歩10分
就学相談の流れ
特総センターの就学相談は、以下のような流れで進んで行きます。
- ホームページから申込書をダウンロードして書類を準備する
- 準備した書類を郵送する
- 相談日の日程を調整する(電話や郵便)
- 相談日当日(学校ごっこ、田中ビネー式知能検査、結果説明)
- 特総センターと小学校間の結果やりとり
5の特総センターと小学校間のやりとりには親は介入しません。
就学相談申し込み
就学相談の申し込みのためには下記の書類を郵送します。年長さんの5~6月頃です。
締め切りがあるので注意して下さい。
- 特別支援学校希望:6月末締切
- 個別支援学級:7月末締切
受理されると、自宅に「相談日時決定通知書」が郵送されてきます。
その中に、相談日時や持ち物が記載されているので、よく読んでおきましょう(おもちゃ持参と書かれていましたが、私は忘れました…ごめんなさい)
うちの場合は郵送してすぐに一度電話が来ました。「相談日時決定通知書」が送られてくる前です。就学相談をすぐにしたいか秋頃が良いかという問い合わせでした。
ちょうどそのころ、はーちゃんはできることがぐんぐん増えている時期だったので、少しでも判断を後にするために後にしたいと答えました。
早い人は就学相談は6月頃から始まるようですが、我が家は9月にスケジュールが組まれました。
相談日当日のスケジュール
当日のスケジュールを説明します。
到着すると、 「相談日時決定通知書」 に記載された番号の確認があり、担当の相談員さんに個室に案内されます。
- STEP1イントロダクション(5分程度)
- STEP2(子)学校ごっこ (親)アンケート回答(10分程度)
- STEP3(子)田中ビネー知能検査 (親)面談(子の検査が終わるまで)
- STEP4休憩
- STEP5(子)別室で遊び (親)結果説明 (30分程度)
全部で2時間くらい。9時半開始でお昼前には終わりました。
イントロダクション
おはようございます。本日担当させていただきます。
いくつか質問させて下さいね。
担当の相談員さんから子どもに向かっていくつか質問がありました。
- お名前は?
- 何歳ですか?
- 電車で来ましたか?車で来ましたか?
※質問しながら、右の人差し指(電車)と左の人差し指(車)を出し、どちらかを選ばせる - かけっことジャングルジムどちらが好きですか?
(同上) - これから(写真を見せながら)このお部屋で学校ごっこをしてから、(写真を見せながら)このお部屋でクイズやパズルをします。いいですか?
- 一緒に学校ごっこに行きます。いいですか?
初めての場所で初対面の人に対してにしては、頑張って答えていました。
相談申込書にジャングルジムが好きと書いたので質問に入れてくれたようです。はーちゃんは、ジャングルジムよりかけっこを指さしていました。そうだっけ?
(子)学校ごっこ (親)アンケート回答
子どもは数人の子ども一緒に先生役の人と学校ごっこをしたそうです。
椅子に座って、先生のお話を聞き、一緒に手遊びをします。
相談員さんは外から子の様子を観察し、後に親にフィードバックしてくれます。
その間、親は別室で待機して5月の就学説明会の動画を見たかどうかのアンケートに答えました。
(子)田中ビネー知能検査 (親)面談
子が別室で田中ビネー知能検査を受けている間、親は相談員さんと面談でした。
<学校ごっこでの様子>
- 先生役の人をしっかり見ていたか
- 座位が崩れなかったか
- 積極的に取り組んでいたか
についてのコメントがありました。
<学校で確認するとよいこと>
もう一度お子さんも一緒に学校にいって、面談されることをお勧めしますよ。
5月に親だけで校長先生と面談していたのですが、子どもと一緒にもう一度行くとよいと言われました。
子どもを直接見て困りごとをイメージしてもらい、学校ではどのような準備ができるか、家庭でどのような準備ができるか話しあえるとよいとのことでした。
具体的には、
- 水道を1人で使えるか(蛇口の形、蛇口かたさ、高さなど)
- トイレを1人で使えるか
- 段差の有無
- 黒板との距離
など、日常生活に本人が困らないかという視点で再チェックが必要ということです。
本日中に、学校に電話して結果をシェアするので、結果、病歴、服薬等の話をしてもいいですか?
ダメな理由がよくわからなかったので、「大丈夫です」と答えました。
個人情報なので都度本人への確認が必要なのもわかりますが、なんだか確認されることが多くてたじろぎます。
(親子)休憩
相談員さんが田中ビネー知能検査の結果を検査担当さんから聞いている間、私たち親子は休憩時間でした。
知らない人と二人っきりでの田中ビネー検査だったので、娘はかなり疲れて甘えん坊モードでしたね。
お茶を飲んだりトイレに行ったりしてリフレッシュしました。
娘よ、本当におつかれさまでした。
(子)別室で遊びながら待ち (親)結果説明
田中ビネー知能検査の結果説明と就学先判断
親が田中ビネー知能検査の結果と就学先の判断を聞いている間、子どもは検査の部屋で検査担当さんに遊んでもらって待っています。
下記の結果説明がありました。
結果説明
田中ビネー知能検査結果:何歳何ヶ月相当かとIQ値を教えてもらえました
就学先の判断:判断結果を教えてもらえました ⇒ 個別支援級(知的クラス)
知能テストは初めての場所で初めての人と私のいない環境でのテストだったことを考えると、ずいぶん頑張っていたと思います。
検査結果は書面ではもらえないので、自分でメモをする必要があります。確かセンター内では撮影録音が禁止されていたので、筆記用具が絶対必要。
ペンは持っていましたが、紙がなかったので持ってきた書類の裏に慌ててメモしました。
個別支援級を勧める理由としては、まだまだ言葉がおぼつかない娘にとって個別支援級は「寄り添って言葉を支援してもらえる環境である。伝えたいことをくみ取って丁寧に見てもらえる」からということでした。
十分納得できる理由でしたので、「知的障害個別支援級という判断です。同意しますか?」に「はい」と答えました。
個別支援級に在籍していても、交流というかたちで一般級に参加する時間を持つこともできます。
また、 発達検査の結果と勉強について行かれるか次第では、今後一般級に変われる可能性もなくはないと、かなりの希望的観測も入ったお言葉もいただきました。
ただし、個別支援級では発したことばを拾いあげることはできるが、苦手な音の練習などの専門的な訓練はできないので、発語については引き続き専門機関にかかると良いというアドバイスをいただきました。
今STにかかっている療育センターは未就学児対応なので、3月で終わりになってしまいます。
この先の新たな専門機関を探す必要がありそうです。うわーーー。
苦手なこと
できたこと、できなかったこと、得意なこと、苦手なことの説明を詳細にしてもらえました。
最近できることが増えてきた娘は、[できない⇒できる]の変化が目立ち、そこを褒められることが多かったのですが、この部分は苦手ですというお話を聞けたのが一番の収穫でした。
お子さんは、数の概念が苦手です。
数字を唱えられることと物の数がわかることは別なので、気をつけてあげて下さい。
初めて指摘された内容で衝撃でした。
数は最近15くらいまで唱えられるようになっていたので、油断していました。
10個ちょうだいという質問に対して、そこにあったおもちゃ全部を差し出してきたということで、数えられていないんですね。「お風呂出るまでに10数えるよー」とは別の能力なのだそうです。
今後一般級を目指すとしても「算数」は知識積み上げ型の科目で、前の学年の内容が全部わかっていないとついて行かれなくなってしまうのだそうです。
数字が苦手なのはかなり致命的な気がしますね(汗)
見える物の単語は獲得できていますが、見えない概念に対する単語の獲得が進んでいません。
重い、軽い、早い、遅い、明るい、暗いなど、日常生活でたくさん使ってあげて下さい。
これはもうおっしゃるとおりです。日常や絵本で意識して使おうと思います。
中学卒業以降の進路
まだまだ目の前の半年くらいのことで精一杯な私ですが、中学卒業以降のお話も少しありました。
中学以降の進路は(障害者・療育)手帳の有無で変わってきます。
- 手帳がないと一般の高校になる
- 手帳がない場合は中2から普通級に行った方がよい
- 手帳があると高校は支援学校に入れるが、その場合は高校卒業の資格は取れない
- 支援高校は就労支援がメイン
ということで、
娘は、自閉症スペクトラム等の診断がないのでIQ75を超えると手帳の更新が出来なくなります。どっちがいいんですかねぇ。
障害はない方がいいけれど、「苦労はあるのに支援はない」という状態が一番困ると思います。
特総センターには小5、小6で進路の相談に来る人もいるそうです。
その場合は、小学校を通して「進路の相談をしたい」と連絡をするとのことでした。
まとめ:特総センター就学相談行って良かったです!
進路先はほとんど決めていたので、進路先判断だけならば行く必要もないかなーと思っていましたが、結果だけではなく、本人の問題への取り組む様子(意欲)や身体の準備(座位を保てるかなど)、得意なことと苦手なことを、経験豊かなプロの目からコメントいただけたことはとても良かったです。
例えば、お母さんは支援級がよいと思っているのに、お父さんは普通級にこだわっているようなご家庭の場合、ご両親で一緒に行って三者で納得のいく話し合いができるとよいのではと思いました。
あと半年で小学生か….しみじみ。いや、しみじみしている場合ではありません。
進路先が決まってもまだまだやることはたくさんあります!頑張りましょう!!
支援級入学準備の年長さんのスケジュールの詳細は以下の記事で解説しました。
年長さんの1年はやることが多く、スケジュールの把握はとても重要なので、この時期になにをすればよいか迷ったら参考にして下さい。
コメント