いよいよ4月から小学校入学。「サポートブック」は作った方が良いのでしょうか?
我が家は年長さんの秋に療育センターの心理士さんから「サポートブックを作る準備をしましょう」と言われました。
サポートブックってなんですか?
「サポートブック」とは新入学の4月を安心して迎えるために、学校や放課後等デイサービスの先生方にお渡しする子どもの様々な情報をまとめた資料です。
ちょっと面倒に思うかもしれませんが、1冊作っておくと様々なところに使用できますし、新しい環境でドキドキな4月のお守りになります。
この記事では、特別支援学級の先生歴20年のぷーた先生(@aki2000oakp)をゲストに迎え、サポートブック作成のコツや具体的な作成方法をまるっと紹介しています。
こんにちは。特別支援学級歴20年のぷーたです。
サポートブック作成に悩んでいるご家庭はぜひ参考にしてください。
ぷーた先生のご紹介
特別支援学級の先生を20年以上されていらっしゃいます。
先生のためのブログを書かれていますが、そのなかの「小学校特別支援学級担任向け授業案」の記事は我々保護者にもとても役立つ内容になっています。ぷーた先生のサイトもチェックしてくださいね!
サポートブックとは
サポートブックとはなんでしょうか?
サポートブックとは
「サポートブック」には様々な解説がありますが、私が見た中で一番しっくりきたのは神戸市役所のものです。
サポートブックは、子どもに家族以外の人に関わってもらうときに、関わってくれる人(支援者)に知っておいてほしい「子どもの様々な情報」をまとめた冊子です。
サポートブックを支援者に渡すことで、新しい場所や初対面の人とでも、子どもが安心して楽しく過ごすための大きな助けになります。また、保護者にとっても支援者に子どもの情報を細かく説明することなく、伝えることができます。
神戸市役所 発達障害者支援センター HP
本記事で紹介するサポートブックは、小学校にあがる子が新しい場所や初対面の人とでも安心して楽しく過ごすための助けとなる資料のことを指します。
サポートブックは「必ず作らなければならない」ものではありませんが、適切な合理的配慮をお願いするための橋渡しとして大切なツールです。
お子さんの特性や身体の障害の有無、病院との連携の必要性、ライフステージなどによって必要な内容は変わってきますので、必要に応じて内容を厚くしていってください。
平成28年4月1日に施行された「障害者差別解消法」により、学校には合理的配慮が求められています。積極的に作成してくださいね。
> 参考サイト: 内閣府:障害を理由とする差別の解消の推進
小学校入学準備に必要なサポートブック
小学校入学するタイミングで子どもには大きな環境の変化が訪れます。
我が家は共働きなこともあり、娘には以下の大きな変化がありました。
保育園は朝から夕方まで預かってくれますが、小学校になると放課後に過ごすところが必要になります。
娘は週5受け入れてくれる放課後等デイサービスが見付からなかったこともあり、放課後に過ごすところが学童×2、放課後等デイサービス×2の計4か所。新しい環境が一度に複数スタートすることになりました。
5年間通った保育園は娘をよく知る先生方・お友だちのなかで楽しく安心して過ごせる環境でした。しかし4月からは、すべての環境で1から関係を構築していかなければなりません。
それぞれで同じ説明を繰り返すのは時間もかかりますし、抜けや漏れが発生してしまうかもしれません。口頭ではその場限りで忘れられてしまうこともあります。
新しい環境の先生方、支援者のみなさんに娘のことをもれなく知ってもらうための資料が「サポートブック」でした。
サポートブック作成のコツ
小学校入学に向けたサポートブック作成にむけて、療育センターの心理士さんがコツを教えてくれました。
- 入学からGWまでの期間に知っておいてもらえると良いことを中心に
- 分量を絞る(目安:A4で2~3枚程度)
- お願いごとを並べるのではなく、参考情報をお知らせするスタンスで
- ポジティブな情報や子どもの心をつかむ話題を入れる
- 家庭も努力するので協力していきたい・情報共有していきたいという意思表明を
1つずつ見ていきましょう。
入学からGWまでの期間に知っておいてもらえると良いことを中心に
サポートブックは先生方に入学前に目を通していただいて、子どもとの接し方の参考にしてもらう資料です。
先生方は入学に当たり多くの子どもたちを迎えるわけですから、一人の子どもについてあまり多くの情報をお伝えしても覚えきれなくなってしまいます。
- 初めての環境で子どもが困りそうなこと
- 初対面の大人に会ったときの反応と接し方のコツ
- 子どもの心を開くための話題
先生が子どもの困りごとに気付き、仲良くなるきっかけとなるような情報を中心にお伝えするようにします。
この先生、わたしのことわかってくれてるわ
保育園の先生みたいに、困っていることをすぐ気づいてくれた
サポートブックを見ていただいた先生からの声かけで、新しい環境に緊張している子どもが少しでも早く安心して小学校に通えようになるといいですね。
分量を絞る(目安:A4サイズで2~3枚程度)
先生方も支援者の方々も4月に多くの新しい子どもたちを迎えます。
親心としては熱が入りたくさん書きたくなってしまいますが、あまり分量が多いと逆に読んでもらえなくなってしまいます。
心理士さんからは以下のアドバイスがありました。
- 多くてもA4サイズで2~3枚程度
- 文字ばかりではなく写真や図を入れる
読んでくれる方の視点で、作成・見直しをすることが重要です。
お願いごとを並べるのではなく、参考情報をお知らせするスタンスで
サポートブックでは子どもの心配ごとに対して、ついつい以下のような書き方をしていまいます。
しかし一方的にお願いする書き方だと、実施してもらいにくいことがあるようです。経験豊かな先生であれば、よりよい方法をお持ちかもしれませんし、幼稚園・保育園のころと小学校では同じ対応が難しい場面もあります。
お願いのコツとしては、今まで上手く行っていた方法をお伝えすることです。お伝えした方法を取り入れるかどうかは先生にお任せします。
依頼ではなく今まで上手くいっていた方法として伝えていただけると現場の教員はとても助かります。
合理的配慮でできるだけ対応しますが、実際のところその通りできないこともあります。
ポジティブな情報や子どもの心をつかむ話題を入れる
サポートブックをいざ目の前にすると、ついつい心配なことや苦手なことをたくさん書きたくなってしまいます。
しかし先生方には子どもの良いところも知ってもらい、会うのを楽しみにしていただきたいですよね。
ポジティブな情報や「○○が好きなんだって?」と話題の糸口となるような情報を入れておきましょう。具体的には次のようなものです。
- 子どもの長所(明るい・前向き・活発など)
- 好きなおもちゃ
- 今ハマっているアニメやYouTube
家庭も努力するので協力していきたい・情報共有していきたいという意思表明を
サポートブックの最後に、親としての思いや先生方へのご挨拶を書いておくとよいです。
幼稚園・保育園とは違い、小学校では担任の先生と顔を合わせたりお話する機会がぐっと減ってしまいます。家庭と学校とで協力しながら子どもの成長をサポートしていきたいという意思表明を先にしておくと先生方の心象もよいのかなと思います。
サポートブックに関するリンク
都道府県や市区町村で様々なサポートブックが提供されています。
まずはご自身のお住まいの自治体や(通われていたら)療育センターで聞いてみましょう。
ネット上でサポートブックの情報をまとめているサイトをいくつかご紹介します。
- LITALICOジュニア :LITALICOジュニア独自のサポートブックテンプレートが公開されています
- 四谷学院発達支援 : 都道府県のサポートブック情報がまとまっています
我が家のサポートブック作成
我が家のサポートブック作成の具体的な手順をご紹介します。
サポートブックの記載項目
我が家が作成したサポートブックは以下のような内容でした。
- 自己紹介
- 好きなこと・安心できること
好きなもの・好きな色・好きなアニメ・好きな遊び - 苦手なこと・不安を感じること
- 心配していることと現在している工夫
生活面:食事・着替え・トイレなど
コミュニケーション:指示理解・お友だち関係など - 健康面のこと
視力面
聴力面
テンプレートによっては、生育歴、生活リズム、診察・検査・相談・支援の記録などもっと詳細な内容が含まれているものもあります。
各自治体で必要とされている項目を確認してください。
特に指定がなければ、先に書いたようにA4サイズ2~3枚程度でまとめるのがよいと思います。
サポートブック作成の手順
我が家のサポートブックは次の手順で作成しました。
詳しい内容を見ていきましょう。
材料集め:保育園の先生にアンケート
家庭での子どもの様子はわかりますが、学校にお伝えしたいのは集団生活での子どものこと。
我が家では保育園の年長・年中の担任の先生にアンケートを取りました。
参考までにアンケート項目を載せておきます。お子さんに合わせてアレンジして使って下さい。
集団生活のお子さんの様子がわかるととてもありがたいです。
幼稚園・保育園の先生やお友だちの中での様子は、意外とご家庭とは違うものです。
材料集め:手元の記録・データ集め・写真撮影
サポートブックに限らず、複数の新しい環境に入るにあたりそれぞれ必要書類を書く機会が増えます。
- 診断名
- 通院歴
- 発達検査結果
などのデータや書類を集めておきます。
顔写真や好きなもアニメキャラクターの写真を撮ったり、娘は知的障害がありますが手先は器用でしたので最近作った作品(折り紙や積み木、工作など)の写真を撮ったりしておきました。
材料集め:娘の特性を付箋に書き出し
「サポートブックを書こう!」といきなり白紙のテンプレートに向かうと、案外手が動かないものです。
心理士さんのアドバイスにより、思いついたときに付箋にちょこちょこと娘の特性を書き出していきました。
皿洗いをしているときや掃除機をかけてるときなど、体を動かしているときのほうがパッと思い浮かぶことがありました。
いざ作成へ
材料となる付箋の山とデータを揃えたら、いざ作成です。
書き溜めた付箋を白い紙に分類わけしていき、ある程度見通しが付いてから清書をします。
最終版は私はWordで作成しましたがもちろん手書きでもOKです。ご自身の得意な方法で作成してください。
我が家のサポートブックのイメージ図
最後に我が家のサポートブックのイメージをご紹介します。
お子さんの心配事に応じて、各欄の大きさ比は変わりますので1つの例として参考にしてください。
りょうこさんのサポートブックにはありませんでしたが、新一年生の保護者と必ず確認することに「アレルギーと投薬」があります。
てんかんがあるお子さんならば、発作の時の対応方法も聞きます。
また、入学式に配慮が必要なことがあればお聞きしたいです。
「親子が一緒が良い」や「式場にいるのは難しい」、「この本があれば座っていられる」などがありましたら、お伝え下さい。
サポートブック作成してみて
サポートブックの作成は大変でしたが、やはり作ってよかったと思っています。
実際にサポートブックを作成し、4月からの先生方にお配りした具体的な感想です。
良かったこと
- 保育園の先生方の思いを改めて聞くことができた
- 客観的に娘の特性を整理することができた
- 新しい環境の先生方に喜んでいただけた
良かったこととしては、アンケートを取ることで保育園の先生方の思いを改めて伺うことができたことがまずあります。娘のためにどのようなことを心掛けてケアしてくださっているか、お友だちとのかかわりでどのような声掛けをしてくださっているか、今まで聞いたことがなかった具体的な心配りを知ったことは本当によかったです。先生方、5年間ありがとうございました。
娘の良いところ・心配なところを客観的にまとめられたこともよかったことです。小学校入学に向けた課題を洗い出せました。
最後になによりも、学校の先生方や放課後等デイサービスの先生方に喜んでいただけました。表紙の写真を見て「かわいいですね」とほほ笑んでもらえ、得意なこと苦手なことのエピソードを見ながらお話できたことで、入学前の不安が少し軽くなりました。
イマイチだったこと
- 実際のところ、親が込めた熱意ほどは読んでもらえない
悪かったことはない!と言いたいところですが、実感として「おや?」と思ったことはありました。
サポートブックに書いたはず・お伝えしたはずのことが先生の記憶に残っていないことはありました。もしかして全く目を通してくれていない??と感じることも、正直ありました。
そんな場面でいちいち「サポートブック、あんなに頑張って書いたのに!渡してあるはずなのに!!」なんて感じると、モヤモヤしてせっかく始まった小学校生活が辛くなってしまいます。
「先生も忙しいし、まぁそんなもんだよね」という心構えが大切です。
大切なことは連絡帳や口頭で何度も伝えていくようにしていきましょう。
まとめ:入学から3ヶ月を乗り切るためにサポートブックを作ろう
年長さんの冬に作成するサポートブックは、学校や放課後等デイサービスの先生方にお渡しする子ども様々な情報をまとめた資料です。
この記事でご紹介したサポートブック作成のコツ・我が家が実践した具体的な作成方法を参考に、ぜひお子さんのサポートブックを作成してみてください。
正直ちょっと面倒に思うかもしれません。ですが1冊作っておくと様々なところに使用できますし、新しい環境でドキドキな4月を少し安心して迎えられますよ。
1年生はいてくれるだけで本当にかわいい存在です。
先生はみんな入学を楽しみに待っていますよ!
小学校に入ってからの勉強面が不安なご家庭は、お家でお子さんのペースで進められる通信教育がオススメです。
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スマイルゼミ年長コースについては、以下の記事で詳しく紹介していますので参考にしてください。
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