お子さんの発語に、こんな悩みはないでしょうか。
うちの子は言葉がとっても遅いんです。
周りに相談しても、そのうち話すよとか、知り合いの子は○歳まで話さなかったけど大丈夫だったよとか、様子をみればとか、気休めを言われるばかりで…。
どこかに、きちんと相談に乗ってくれる専門家はいないのかしら。
育児情報ってそういうところありますよね。
不安を相談しても、「お母さんの考えすぎ。長い目で見てあげましょう」みたいな、何の解決にもならないようなこと言われがちです。
もちろん本当にこちらの考えすぎ・心配しすぎで、時間が解決してくれることもたくさんあります。きっとそちらのケースのほうが多いので、そういったアドバイスになるのだと思います。
逆に「発語が遅い = 発達障害 」と決めつけるような声を聞き、いたずらに不安だけが大きくなることもあります。
娘の場合は3歳~4歳までほとんど発語がありませんでした。
小さく生まれ病院にずっとかかっていましたが、明確な病名がつくことはありませんでした。
それなのに、3歳で言葉でのコミュニケーションはほとんどなく、聞き取りにくい単語が数語、あとはゼロ歳児くらいの喃語を発している感じでした。
「この子の言葉の遅さは、ちょっと普通と違う」そういった感覚を持った時、その勘があたっているかどうか、どのように判断して誰に相談すればいいのでしょう。
言葉が遅い子の専門家
言葉が遅い子の専門家は言語聴覚士(ST)さん
言葉が遅い子の専門家は、言語聴覚士(ST)さんです。言語聴覚士は国家資格です。
言語聴覚士さんは、ことばによるコミュニケーションに問題があったり、摂食・嚥下に問題がある人たちに対応してくれる専門職です。
お医者様のように病気を診断するのではなく、現状から課題を見立て、その課題を乗り越える訓練・指導をしてくださいます。
言語聴覚士さんの団体、一般社団法人日本言語聴覚士協会のサイトには、下記のように書かれています。
脳卒中後の言語障害(失語症、構音障害)や聴覚障害、ことばの発達の遅れ、声や発音の障害など、ことばによるコミュニケーションの問題は多岐にわたります。
言語聴覚士はこうした問題の本質や発現メカニズムを明らかにし、対処法を見出すために検査・評価を実施。必要に応じて訓練、指導、助言、その他の援助を行う専門職です。さらに医師や歯科医師の指示のもと、嚥下訓練や人工内耳の調整なども行います。
引用:言語聴覚士とは | 一般社団法人日本言語聴覚士協会ホームページ
言語聴覚士さん(以下STさんと表記します)のお仕事は多岐にわたり、加齢や病気、身体の機能の障害により話すことが難しい・食べることが難しいという人を専門に診る方もいらっしゃいます(おそらくそちらのほうが多いです。)
子どもの発語の遅れを専門とするSTさんは、正直かなり少ないと思います(下でご紹介するなな先生は、全国で36,000人程度とおっしゃっていました)。どこかの病院に行けば診てもらえるということではないです。探し出して繋いでもらって診てもらうには、残念ながら親のリサーチ力と努力(もしかしたら運も)が必要です。
専門家の発信する情報をSNSでキャッチしよう
そうはいっても、STさんを探し出して直接診てもらうためにはパワーが必要です。
いざ見つけ出して診てもらう段になって、「いや、お母さん心配しすぎ、このくらいが普通ですよ~」となっても心底がっくりしますし、まずはSTさんが発信している情報を探すのがお勧めです。
今まで何人かお会いしている小児専門のSTさんのほとんどが、ご自身が担当できるお子さんの人数・時間に限界があること、STさんを必要としているすべてのお子さんには情報やケアが行き渡らないことに心を痛めていらっしゃいました。
今は良い時代です。本業以外の時間で、外部に発信して下さっている専門家の情報をキャッチする方法があります。
以下のようなSNSで「言語聴覚士」や「言語聴覚士 小児」で検索してみましょう。欲しかった情報を発信されている方にたどり着けると思います。
お勧めVoicyチャンネルを3つ紹介します。
- こども発達LABO.ラジオ
- にしむらさんというご夫婦が発信 されています。
奥様がSTさん、ご主人がPT(理学療法士)さんで、ご夫婦の漫才のような掛け合いが面白く、身近な例え話を使った説明がわかりやすいです。 - なな先生のことばの発達ラジオ
- 子どもの発語訓練を専門とされている言語聴覚士なな先生が発信されています。
発語を促すためにやるとよいこと、やらないほうがよいことを、子どもが言葉を獲得するための仕組みやステップをふまえた説明をして下さいます。優しい語り口で、声がとても心地よいです。 - たなはることばの相談ラジオ
- お子さんが二人いらっしゃるママSTのたなはる先生が発信されています。(二人目お子さんをご出産したばかりです。それなのに発信を続けていらしてすごい!)
確かな専門知識とキャリアの中で育まれた経験にご自身の子育ての経験もあわせたお話を聞くことができます。たなはる先生も、とても心地よい声で癒やされます。
Voicyは音声のみなので、ワイヤレスイヤホン片耳だけして、家事や寝かしつけの合間に聞くこともできます。
ただ、たくさんのチャンネルを片っ端から全部見たりすると、やるべきことや心配事が多くなりすぎてしんどいです。ご自身の考えやお子さんに合いそうな発信者の情報を集中して見る(聞く)のが良いと思います。
言語の専門家に診てもらおう
SNSのような多くのお子さん向けの情報でなく、ご自身のお子さんに合った情報を得たい、お子さんを専門家に診てもらいたいと強く思われたとき、どこにそのように相談すればよいでしょう。
ここでご紹介するのは一例でお住まいの自治体や通える範囲の病院によって状況は異なると思います。なかなか見つからず、嫌な思いをされることもあるかもしれません。
それでも、お子さんにぴったり合う医療従事者、ぴったり合う専門家を見つけてくるのは、残念ながら最終的には親がやらないと、だれもやってくれないです。
そして、言語につながる訓練は早いほうがよいと私は思います。
しんどいですが、無理しすぎない範囲で、頑張っていきましょう。
3歳児検診(保健所や母子保健センター)
自治体で3歳児検診を受けると思いますが、そこで聞いてみるという方法です。
3歳児検診が、ことばの理解や会話の発達状況を確認することを目的の1つとしていますので、親としても心配があること、専門家に相談したいことを強く要望してみましょう。
療育センター
各自治体には未就学児の療育をうけもつ「療育センター」があると思います(名前は自治体によって異なるようです)。
3歳児検診で紹介される先がここになることもあります。
3歳検診以外でも、自治体の窓口で発語の発達に心配があるから専門家がいらっしゃる療育センターを紹介してもらえないか聞いてみましょう。
もし自治体からなかなかつないでもらえない場合、自分の住む地域の療育センターの連絡先を聞いて、直接電話で依頼するという方法もあります。
我が家は、自治体で門前払い+療育センターに直談判のパターンでしたが、数ヶ月の待ちを経て診てもらうことができました(正確にはそのタイミングではSTさんではなく、心理士さん⇒医師⇒理学療法士・作業療法士さんという順に診ていただきました)
ただ残念ながら、自治体によっては肢体不自由の子のみが対象という療育センターもあるようで、住んでいるところに応じた運とめぐり合わせという要素はあります。
リハビリをやってる病院
自治体で言語の療育をしてくれる場所がなければ、STさんのいる病院を探すという方法があります。
一般社団法人日本言語聴覚士協会のサイトで、STさんのいる病院を検索できます。
STさんにも専門や対象がさまざまですので、ご自身のお子さんが対象になるか電話で問い合わせしてみてください。
かかりつけの小児科の先生に、ちょうどよい病院はないか、紹介状を書いてもらえないか相談してみるのもよいと思います。
民間の療育施設
自治体、病院以外にも民間の療育施設もあります。
これらの施設は自費になるため負担は大きくなりますが、その分自由度も高いです。
医療保険や公費を使うサービスは、問い合わせ先に難色を示され嫌な思いをすることもありますが、民間の施設は空きさえあれば、受けることができます(でも高い…)。
民間療育の大手にはLITALICOなどがあります。
他にも、自治体の福祉課に申請して発行される「通所受給者証」という証書を使って通うことができる児童発達支援がありますが、この記事で対象としている”発語が心配な親御さんが最初に相談に行く場所“ではないので、ここでは割愛しますね。
我が家の現状(5歳)
現在5歳になった娘はーちゃんは、3歳時点で喃語のような発語しかない状態から、
- 療育センターのST(月1~2回)
- 民間療育の発語訓練(週1回)
を経て、発音は不明瞭ながらも2語文が出るようになりました。
発語が出ないのが、知能の問題なのか、口の機能上の問題なのか、それ以外なのか…
原因を知りたいとずっと思っていましたが、結局STさんから原因について言及されることはありませんでした
この2年の成長を見ていて言える、一番大切なことは
本人の話したい・伝えたいという気持ち・意欲!
とにかく本人の気持が大切です。
- 言葉に出さなくても親が先回りして何でもやってくれる
- 言葉で言ってみても全然わかってもらえない
そんな体験が積み重なると、あきらめて話さなくなってしまいます。
3歳の頃のはーちゃんは完全にそのような状態でした。
専門家の先生方からのアドバイスがなければ、私たちはそれに気づくことができませんでした。
はーちゃんの、話したいという意欲を引き出してくれた先生方には、本当に感謝しています。
はーちゃんがおはなしすると、
みんなニコニコ聞いてくれるし、わかろうとしてくれるの
それがとってもうれしいのよ
まとめ
言葉が遅い子の専門家はST(言語聴覚士)さんです。
しかしながら、小児を診てくれるSTさんの人数は圧倒的に足りていないという現状があります。
まずは、SNSで情報を収集することをお勧めします。
直接診てもらうには、
- 自治体から紹介してもらう
- 療育センターや病院を探す
- 民間の療育施設を探す
と言った方法があります。
STさんに巡りあうまでの親の負担は大きいのですが、専門の先生に診ていただくことでお子さんの苦手なことや、今のお子さんの状況に合わせた発語の促しに必要なポイントをアドバイスいただいて小学校入学前に少しでも状況を改善しておけるとよいですね。
来年からはーちゃんの小学生。どうなるかドキドキです。みなさん一緒に頑張りましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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