小さく産まれた我が家の娘のはーちゃん(2021年現在5歳)は、発達に遅れがあり療育センターに通院しています。
中でも一番遅れていて心配なのは発語です。
親も少し知識をつけておこうと小児の発語の情報を探していたところ、音声プラットフォームのVoicyで小児発語のプロの【言語聴覚士なな先生】のチャンネルを見つけました。
柔らかい優しい声と語り口で綴られるお話はどの内容もとてもためになり、はーちゃんへの接し方のヒントになる専門的な情報がつまっています。
しかし、音声メディアはながら聞きができるという良い面もありますが、後からもう一度確認したくても探し出すのが難しい面があります。
困ったお母さん
あの内容をもう一度聞きたいのだけど、いつ頃のどの放送で言ってたかしら??
定期的に新しい情報が追加されるので、聞く時間が数日取れないと後から追いつくのが大変だったり、何十本も配信されあとにチャンネルに気付き、最初から全部聞きたいと思っても時間的に難しかったりします。
そこで、自身のメモがわりに勝手にまとめ記事を作ることにしました。
お話すべての書きおこしではなく、キーワードを書き留めていますので、詳しい内容、正しい内容は必ず本編を聞いて下さいね。
音声プラットフォームVoicyというサービスの会員になる必要があります。会員は無料登録できますので、ぜひ登録して聞いてみて下さいね。
なな先生のことばの発達ラジオ 2021年9月分後半
2021/9/18 言える音なのにまちがう、お喋りが不明瞭!なあに?
1文字1文字は言える音のはずなのに、単語になると間違ってしまうのはどうして?というお話です。
先生お手製のことばドリルについても紹介されています。
言える音なのにまちがう、不明瞭
「パ」も「ト」も「カ」も言えるのに、「パトカー」がどうしても「パコカー」になってしまうんです
1文字1文字は言える音のはずなのに、単語になると間違ってしまうという現象がある
例えば
- パトカー ⇒ パコカー・パトター・パポパーなど
- ごはん ⇒ ごあん
- つかいかた ⇒ つかいたか
- とうもろこし ⇒ とうもころし(from トトロのメイちゃん)
音が発音できないのではなく、音が入れ替わったり、無くなったり、言い間違えたりするという現象は、2歳~4歳くらいまで非常に頻繁にある
この現象が多く出て、元の言葉と”似ている度”がかなり下がっていくと、何を言っているのかがわからないレベルになってしまうことも。(例:ママがりんごをたべる ⇒ ママいーといびる)
音韻の発達がひらがなの読み書きにつながる
音韻 = 言葉がいくつかの音で出来ていること
- 音韻分解(例:みかんは、「み」と「か」と「ん」の3つの音で出来ているな~)
⇒ 3歳~4歳で獲得 - 音韻抽出(例:みかんの頭の音は「み」で他にも「み」の付く言葉は「みせ」とか「みそ」とかあるな~)
⇒ 4歳~5歳で獲得
これらができるようになると、ぐっと言っていることがわかりやすくなる。聞き直されると、正確に言い直すことができるようになる。
音の操作の力を使った言葉遊びの代表例
- しりとり
頭の音やお尻の音を抽出するして、同じ音の付く言葉を考えることができる - 手遊び歌(例:ずいずいずっころばし)
手の振り付けで、音韻とリズムがセットでつちかわれる - ジャンケンをして、「ぐりこ」「ぱいなつぷる」「ちよこれいと」と1つずつ進む遊び
音の一拍に1音が必ず入ることを使える
音韻意識、音韻操作の力は、ゆくゆくはひらがなの学習(1音が1つの文字に結びつくことの理解)につながり、その後、漢字学習のふりがな ⇒ 送り仮名 ⇒ ローマ字 ⇒ 英語学習とつながっていく
音韻の力が弱い子ども
⇒おしゃべりが不明瞭。何をいっているか聞き取れない。
⇒そういった子どもは文字を書いても同じ間違えをしていることが多い。
音韻の力が弱い子どもは、滑舌練習をしても改善はしない。音韻の力をはぐくむ練習が必要。
なな先生自作の音韻の力を育む教材、「ことばドリルVol.1 (2,200円)(4歳~)」「ことばドリルVol.1 分冊版 (1,100円)(3歳~)」がminneで販売しているそうです。
※分冊版は完全版の前半部分のみの内容でした
りょうこ
初めて知ることが多くて、とても参考になりました!
はーちゃんは口数は増えてきましたが、正直何言っているのかよくわからないことが多いです。先生のおっしゃっている音韻の力が弱いからなのでしょうか。
ここはぜひ、ことばドリルを買ってみようと思います!
効果については、別記事でお知らせしますね~
たっくん
2021/9/21 ラッパを吹くとことばが出るの?
りょうこ
ラッパを吹けばことばが出ると言われたけれど、吹く練習をすると、ことばが出ていない子のことばがでるようになるの?というお話です
ラッパを吹くとことばが出る?
困ったお母さん
子どものことばが遅いと言ったら、おばあちゃんから「笛でも吹かせておけばことばが出るようになる」と言われたんだけど、本当かしら?
なな先生の回答は「一部本当。7割くらいは嘘」とのこと。
お口を使う活動だから関係しているように一見思える。
言葉の出る過程とは
頭の中から生み出される ⇒ 言葉を探す ⇒ 選ぶ ⇒ 音をイメージする
⇒ 脳からお口に命令が行って息を吐きながらお口を動かして声を出す
という、一連の過程をたどる
前半(赤字)の頭のなかの過程は、吹く練習と関係ない。
後半(黄色マーカー)のお口の運動部分が未発達の子には意味がある。
吹く練習をするとよいお子さんは
吹くこと自体は、肺や呼吸に関係する筋肉や動きが共通点はある
⇒発音不明瞭、発話不明瞭な子の改善に効果があるというのは、半分は正解で半分は間違え(7割は嘘よりは嘘度はDOWN)。
それでも、運動部分が未発達でことばが遅い子は一定数いるので、言語聴覚士さんによる吹く練習はよく行われている。
練習の例:
- 吹き戻し(お祭りで売っているぴろぴろ)
- ストローでぶくぶくする(アルミストローが噛んでもつぶれないのでお勧め)
- ティッシュを吹く
- ピンポン球やコルク・発泡スチロールの玉を的にめがけて吹く
- ろうそくの炎を吹き消す(大人と一緒に!)
- ふきごま
- かざぐるま
- ハーモニカ
りょうこ
はーちゃんも言語聴覚士さんとの最初の訓練のときは、吹く練習をしていたわ。吹き流しやティッシュ吹き、かざぐるまやハーモニカ。
楽しく遊んでいる感じだったけれど、そういう意味があったのね
たっくん
はーちゃんは、飲んだり吸ったりするのが苦手だったから、お口の運動の発達も遅かったんだと思うよ
はーちゃん
2021/9/24 ひらがなはできるだけ早くから教えたほうがいい?
年少さんくらいからひらがなを読める子もいますが、できるだけ早く教えた方がことばの発達にもよいの?という疑問に答えるお話です。
読み書きができるイコールことばの発達が速いではない
ひらがなは音の粒が大きく、単純で規則的のため法則さえすんなり入れば早く(2歳~4歳)から読める子もいる
ひらがなが早く読めること ≠ ことばの発達が早い
下記のようなケースもある
- おしゃべりを全然しないのに、ひらがなだけ読める
- おしゃべりに問題はないのに、ひらがなの習得が進まない
上記からわかること ↓ ↓
ひらがなを読む力は独立した能力であり、言語能力とはあまり関係がない。
ことばを駆使する力とはわけて考えるべきものと言われている。
文字を読むことから、読んでことばを学ぶの世界へ
ひらがなをできるだけ早く教えるほうが、ことばの発達の伸びがよくなるとは言えない
ひらがなに興味を読み始めてから習得するまでの期間は、みんな同じくらいと言われている
⇒興味を持たない子に無理矢理教えることはできない
「文字を読む」から、「読んでことばを学ぶ」までのプロセス
- 文字をマーク(象徴)として認識する
⇒幼稚園の自分の目印のマーク、お店のロゴのようなもの - 1文字=1音の規則・分解して並べ替えると他のことばになることが理解できる
⇒1から2へは少し時間がかかる - 文を理解できる
文を理解するためのステップ
⇒ 1個ずつ文字を音に変換
⇒ 頭のなかで1個ずつの音を覚えておく
⇒ その音を合体してことばにする
⇒ そのことばの意味を頭の中で考える
⇒ 文の意味を理解する
(3)の「文の理解」ができるのは1年生くらい。音を頭にとどめておく力(=ワーキングメモリ)が必要になる。
(3)の時期の前には、文字を目で追うだけで意味はわからないという時期がある。
上記より、ひらがなを学ぶことと、ことばの発達の初期(土台の部分)は独立した行程ということがわかる。
1~2年ひらがなを早く覚えても、言語能力・思考能力に功を奏するということはない。
聞く話すの練習でことばの発達の力をつけていったほうが良い。
以下は、なな先生が最後にお話して下さったメッセージです。
文字を読めるようになると失ってしまうものがあります。
「音を一拍ずつにわけて記号に当てはめることができる。ことばはかならず音節という音1つずつに分かれる。」
この概念に気づくと、気づく前の状態には戻れません(不可逆)。
ことばを音節ではなく、一連の響きとして受け取ることができる豊かな能力、貴重な”文字を読めない時代”も大切にしてください
りょうこ
文字を読む力とおはなしする力は別物なのね
はーちゃんは、やっとひらがなを8割くらい読めるようになったけど、まだまだ1文字ずつで、単語を読むことはできないね
たっくん
「ワーキングメモリ」っていうのが、まだうまくはたらいていないんじゃない?
はーちゃん
2021/9/27 語尾だけお話するには理由があります
単語の一部分だけでお話する現象についての回です。
りょうこ
おさかなを「ちゃな」とかっていう幼児語ってとってもかわいいですが、その時期を過ぎるとあっという間に言わなくなってしまうんですよね~
お喋りの力はだんだん自動化されていく
うちのこは、電車のことを「ちゃ」、ジュースのことを「じゅ」など、きちんと物の名前が言えないんです。大丈夫でしょうか。
おはなしはじめ(おはなしできる単語が50語以下)のお子さんにとても多い現象
よく見られるので、専門用語もある ⇒ ワードパーシャル(部分語)
理由1.そう聞こえるから
⇒耳悪いわけではない。耳が聞こえることと言葉に使われている音が聞き取れるというのは別の能力
大人でも、聞き取れない言語を聞くときのことを思い出すとわかりますね
理由2.ことば全部を覚えていられないから
⇒耳で聞いたことばを頭に浮かべて覚えておく能力(ワーキングメモリ)が育っていない
音は消え去ってしまうので、目で見て覚えておくよりも難しい
理由3.うまく言えないから
⇒お口の形や動きがまだまだ大人と全然違う。骨格、筋肉の付き方、運動能力なども
よく使う運動は自動化されていくが、その自動化が進んでいない
1音ずつ区切って教えないで!
上の理由1と理由2は音韻の力と密接に関連している。 音韻の力について
音韻の力については⇒ 2021/9/18 言える音なのにまちがう、お喋りが不明瞭!なあに?の回へ
- ここで大切なのは、自然な抑揚でよく聞かせてあげること
- やってはいけないことは1文字ずつ区切って聞かせること
「お・さ・か・な。はい、言ってみて!」はダメ
音韻の力がついている子ならば、間違えを指摘して1文字ずつ聞かせてもOK
確認方法⇒ことばに含まれる音の数があっているかどうか
不明瞭でも発語
困ったお母さん
バナナを「ば」、ぶどうを「ぶ」としか言わないのですが、これは発語に含めていいのでしょうか?
これは立派な発語!
「ば」といったらバナナと通じる環境をつくってあげることで、生活のなかで発語の頻度がのびのびと増えていくことが大切。
この段階を「聞き手効果段階」という。
りょうこ
はーちゃんも、ジュースのこと「じゅ」って言っていた時期があったわよね。今は「じゅーちゅ」にかわっているから、段階が一つ上がったのね。
たっくん
2021/9/30 なんでも「ワンワン」〜ことばは増えるんじゃなく分かれる!〜
どんな動物をみても「ワンワン」と呼んで、言葉が増えていかないんです というお悩みに答えるお話です。
なんでもワンワン
困ったお母さん
うちの子はどんな動物も「ワンワン」で言葉が増えていかないんです
ネコも鳥さんも牛さんも羊さんもワンワンです。
言葉の発達から言うと当たり前のこと
どこからどこまでの範囲が「ワンワン(犬)」なのかが幼児にはわからない
4本足?しっぽがある?ワンと鳴く?家にいる?首輪をしている?生きている?ぬいぐるみは?
始めは広めに言っておいて、言った相手の反応を見ながらだんだん範囲を狭めて理解していく
ことばは分かれる
言葉は増えるのではなく分かれるもの
- 例1:赤っぽいものは何でも赤 ⇒ 赤・ピンク・薄い赤・濃い赤・鮮やかな赤など
- 例2:なんでも「やってー」⇒「読んでー」・「見せてー」など
- 例3:なんでも「大きい」 ⇒ 「大きい」・「高い」・「長い」など
その段階で似ているものが混ざってしまうのはよくあること(野球とサッカーとか)
対応としては、訂正をせずに正解を伝えるのがよい。その際、他の情報を付け加えるとよりよい。
「あ、わんわん」
「そうだねーねこちゃんだね、にゃーって言ってるね」
間違えているのではなく、新しく言葉を覚えるチャンスが眠っていると前向きに捉えよう!
りょうこ
確かに、犬って何?って言われたら定義するのは難しいよね
生きている犬だけじゃなくって、ぬいぐるみも絵で描いた犬もみんなワンワンだものね
たっくん
はーちゃんは、長くても高くてもなんでもまだ「おっきー(大きい)」だね
少しずついろんな言葉を教えていってあげよっと
まとめ
2021年9月後半の放送は5本でした。
どれも20分弱で聞ける内容です。
音韻やワーキングメモリのお話、文字とおしゃべりの関係など、今までよくわからなかったお話の発達の過程がわかり、はーちゃんが今お話がうまくできない理由とこれからどのように伸ばしていけばよいかが、うっすらとですがわかった回でした。先生に感謝!
先生が作成された「ことばドリル」も早速注文したので、届くのが楽しみです。
Voicyはチャプター割がしてあったり、聞き取れるくらいの早回し(1.2倍~)で再生する機能もありますので、ぜひ先生の優しい生声を聞いてみてくださいね!
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